数年前(生存中)、庭に出た俳人の父が言った。
「秋の季語に『水澄む』ってのがあるけど、本当なんだな~」
そう、秋になると、庭のメダカ水槽の水は、急に透明度を増す。
ことに、先日の台風の豪雨で、自然に水替えができたので、水はすっかり澄んでいる。
昨夜は店を息子に委ね、友人の誕生日のお祝いに。
帰途、十五夜の満月を正面に見ながら、陸橋を渡る。
花と月を愛でた西行は、どんな気持ちで月を見ていたのかと、ふと思う。
地球が丸いことも、満ち欠けの理由もわからぬ時代の人にとって、月は何とも不思議な存在であったことだろう。
路地に入って、ふと気付いた。
「ああ、これは、明け方の明るさだ」
時間はまだ夜中の2時半。
「月明かり」を感じたのは何年ぶりのことであろうか。
写真は、友人が送ってくれたロンドンの昨夜の月。
遠く離れた地でも、十五夜の月は、丸く、明るい。